賃上げ促進税制とは 利用時のメリットとポイントを解説
賃上げ促進税制は2022年4月より施行されている、企業の従業員の給与引き上げ支援を目的とした制度です。要件を満たした企業等は、雇用者全体の給与支給の増加額などに対して最大40%の税控除を受けられます。利用に際してのメリットおよびポイントを解説します。
目次
賃上げ促進税制とは
賃上げ促進税制とは、企業の従業員の給与引き上げ支援を目的とした制度で、2022年4月より施行されています。
要件を満たした企業等は、雇用者全体の給与支給の増加額などに対する税控除を最大40%(大企業の場合、最大30%)まで受けられます。
なお、賃上げ促進税制における中小企業者等とは、青色申告書を提出するもののうち、以下に該当することが条件となります。
・資本金1億円以下の法人
※対象外となる法人もあるため、詳細は経済産業省「賃上げ促進税制利用ガイドブック」を参照
・資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
・共同組合等
賃上げ促進税制の適用要件(中小企業者等)
賃上げ促進税制の対象となるのは、以下の「通常要件」と2つの「上乗せ要件」を満たした企業・個人事業主です。 なお、適用期間は令和4年4月1日から令和6年3月31日までの期間内に開始する事業年度が対象となります。
通常適用
通常適用では、「雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加」が適用要件となります。
これにより、「控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額または所得税額から控除」できます。
上乗せ要件①
上乗せ要件では、「雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加」の場合に適用となります。
これにより、税控除率が15%上乗せされます。
上乗せ要件②
もうひとつの上乗せ要件は、「教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加」の場合に適用となります。
これにより、税控除率が10%上乗せされます。
賃上げ促進税制によるメリット
賃上げ促進税制の活用にあたり、どのようなメリットが期待されるか解説していきます。
節税による負担減
賃上げ促進税制が適用されれば、法人税(個人事業主の場合は所得税)から直接、税額控除を受けられます。従業員の給与を増やしても、一定額の税控除を受けられるため、コストアップの負担が軽減されます。
離職率の低下や事業規模拡大といった、投資の意味合いで従業員の賃上げを検討する際にも大きな効果を発揮するでしょう。
人材の獲得や定着率の向上
賃上げ促進税制の要件は給与等支給額の増加ですので、従業員の給与を上げるだけでなく、新たに人材を雇用することでも要件を満たせます。
新たな人材の獲得に活かしてもよいですし、従業員の定着率を向上させるために給与アップに活かしてもよいというわけです。
従業員のスキルアップによる競争力の向上
職務に必要な技術または知識を習得・向上させるための「教育訓練費」の増加が上乗せ要件となっているため、外部研修や講師を招いた勉強会などの費用でも賃上げ促進税制に適用されます。
従業員にスキルアップの機会を提供することで、自社の競争力向上を図れるだけでなく、従業員満足度の向上にも繋がるでしょう。
賃上げ促進税制の利用にあたってのポイント
対象は国内雇用者に限る
賃上げ促進税制の対象となるのは、「国内に所在する事務所につき作成された賃金台帳に記載されたもの」と定められています。
ただし、長期出張などで海外で働いていたものであっても、国内の事務所で作成された賃金台帳に記載され、給与を受けているものであれば賃上げ促進税制に適用されます。
パート・アルバイトも対象
国内事務所で作成された賃金台帳に記載されたものであれば、雇用形態は問わず、パート・アルバイトや日雇い労働者も含まれます。
ただし、取締役や理事などの役員は含まれないので注意しましょう。
納める法人税額を確認
賃上げ促進税制は現金が給付されるわけではなく、法人税(所得税)から控除される仕組みです。
そのため、もともと納める税金が少ない企業にとっては、要件を満たしてもあまりメリットを得られない可能性があります。
まとめ
賃上げ促進税制は、給与アップによる定着率向上や人材の獲得を目指す企業にとっては、メリットしかない制度となります。
パート・アルバイト、日雇い労働者なども対象となることから、広く事業拡大を図る企業にとっては追い風となるでしょう。
採用のことなら、採用サイトが簡単に作れるWorkPodをお試しください。
本格的な採用サイトが簡単に作れるWorkPod(ワークポッド)なら、最寄り駅やスキルなどで検索できる「検索機能付きの採用サイト」が、お申込みと同時に手に入ります。さらにいまなら初期費用無料キャンペーン中です。