人事部が知っておきたい心理学3選│内発的動機づけ・ナッジ・ハロー効果を紹介
従業員や求人の応募者など、社内外の人と接することが多い人事部の仕事。人と接するからこそ、人事部は心理学を学び仕事に活かす必要があります。グローバル化や経済の変化、新型コロナの感染防止など、組織で働く人材を取り巻く環境は大きく変化しています。人事部が知っておきたい心理学3選を紹介します。
目次
人事部に心理学が必要な理由
人事部の仕事は幅広く、採用や人材育成、人事制度、労務、組織開発など多岐にわたります。どの仕事にも共通していえるのは人と関わるということ。人は常に合理的に行動するのではなく、心理に基づいて行動します。ですから、人事部は、人間の心理を扱う心理学を知っておく必要があるのです。以下より、内発的動機づけ、ナッジ、ハロー効果をそれぞれ紹介します。
内発的動機づけとは?
人間には2つのモチベーションがあります。賃金や評価などの外的要因に基づく外発的動機づけ、そして充実感、達成感、成長などの内的要因に基づく内発的動機づけです。人事部にとっての内発的動機づけは、人材開発や組織開発などで活用できます。
人材開発・組織開発における内発的動機づけ
リスクのある発言・行動を許容できない組織風土では、従業員がチャレンジできず、イノベーションも生まれません。責任のある自由な発言と行動を従業員が自然に取れる組織にするために、内発的動機づけを活かした人材開発や組織開発が有効です。
人材開発として、従業員の内発的動機づけを活かす教育研修を取り入れます。充実感、達成感、成長が従業員のモチベーションの原動力であることを実感できる研修です。しかし職場が内発的動機づけを否定する組織では意味がないので、人事部が音頭を取って、リスクのある発言・行動を許容する組織づくりを行います。内発的動機づけを中心とした人材開発・組織開発を連結して行うことで、人と組織を「育てる」ことができるようになるでしょう。
ナッジとは?
ナッジとは「肘で小突く」という意味で、人間は必ずしも合理的に行動しないことを説明する行動経済学で使われている概念です。行動経済学は経済学の研究分野ですが、心理学の影響を大きく受けており、行動経済学の研究でノーベル経済学賞を受けたダニエル・カーネマンは心理学者です。
人間が全て合理的に行動してくれれば、人事部の仕事はやりやすいかもしれません。しかし、行動経済学では人間は必ずしも合理的には行動せず、ときには望ましくない行動を取ることもあると説明します。人事部にとってのナッジは、従業員や求職者などが自分たちの意思で望ましい行動を取ってくれるよう、そっと後押しする仕組みやきっかけづくりをすることをいいます。
ナッジの使い方
ナッジは、人間が望ましい行動を取ってくれるよう、そっと後押しする仕組みやきっかけづくりをすることです。IT企業Googleの企業例を説明します。
Googleでは従業員がおいしく食べられるカフェテリアを用意していますが、従業員が食べ過ぎて太ることに悩んでいました。そこでナッジを使い、ケーキを目立たない場所に置き、フルーツを目立つ場所に置くようにしました。ケーキをなくすのではなく、あくまでもケーキを置いたままフルーツを目立つ場所に置くことがポイント。従業員は自らの意思でフルーツを選ぶようになっていきました。
社内調査におけるナッジ
続いて人事部がナッジをどのように活用するのかを見ていきましょう。人事部は従業員満足度調査をはじめとする社内調査を行うことがあります。調査を行う場合に人事部が困るのが回収率の低さです。ナッジを活用すると、回収率を高めることができます。
従業員満足度調査の回収率を高めるためには、従業員満足度調査の意義について人事部が従業員に説明しなくてはなりません。調査のお願いメールがきてもスルーしてしまっている従業員がいるかもしれないし、「回答したところでどうせ変わらないだろう」と考える従業員がいるかもしれません。従業員の説明にはメール、SNS、動画などの様々な方法がありますが、従業員に対して調査の意義を丁寧に説明できる方法を選んで下さい。
調査が終わった後、未回答者に対しては一斉メールを配信します。一斉メールには調査の意義を再び書きつつ、「未回答者にはあと3回送りますが、その後、未回答の場合は調査のお願いメールを送らないようにします」旨を記します。突き放す感じではなく、やんわりと「送らないようにします」程度にするのです。ちなみに「3回」という回数は任意の数字で結構です。
調査の意義を数度にわたって聞いているため、未回答者は次回以降、少なくとも3回以内に回答するようになるでしょう。従業員のために調査をやっているのだということ人事部が伝え、それでも未回答ならお願いメールを送らないとなれば、ナッジが効果的に働き、調査の回答率が上がるという仕組みです。
ハロー効果とは?
ハロー効果とは、人を評価するとき、人の目立った特徴に引きずられて評価が歪められてしまう効果をいいます。ハロー効果は人間の心理的な歪みです。
ハロー効果にはポジティブハロー効果とネガティブハロー効果の2つがあります。ポジティブハロー効果では、人の特徴について「高い評価」を与えたときにその人全体に高い評価を与えてしまいます。また、ネガティブハロー効果では、人の特徴に「低い評価」を与えたときにその人全体に低い評価を与えてしまう心理現象をいいます。
人事部がハロー効果を活用する場面は採用と人事評価で、自分が「ハロー効果に陥っていないか」に気をつける必要があります。
採用におけるハロー効果
採用で面接官が応募者を見るとき、ハロー効果に陥らないように、あるいは、知らず知らずのうちにハロー効果に陥っていないかどうかに気をつけます。例えば容姿端麗で有名大学に属している女子学生を面接したとき、第一印象は良くなりますよね。この場合に自分がハロー効果に陥らないように気をつけるのです。
ハロー効果に陥らないようにするには、面接の心得として「ハロー効果に陥ることがある」ことを自覚することが大切です。そして、面接中にもハロー効果に陥らないように、学生が話した内容に「行動の再現性」があるかどうか、質問を通じて確認しましょう。研究やゼミ、バイトなどで実績を挙げたことに対して深掘りして質問し、あるいは話を広げて、行動に再現性があるかを見極めて下さい。
人事評価におけるハロー効果
人事評価におけるハロー効果の活用は、人事評価の運用において管理職がハロー効果に陥らないように気をつけることです。
人事評価を行う管理職向けに、メールや社内SNSなどでハロー効果について説明し、ハロー効果の認識を高めてもらいます。その他、人事部評価研修を行って、研修の講師にハロー効果に陥らない人事部評価のやり方を説明してもらいましょう。
まとめ
人の心を扱う心理学は、人事部にとって重要な知識です。心理学をうまく活用して、採用や人材育成、人事制度などの仕事に効果を加えていきましょう。
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