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WorkPod 採用コラム

企業は週休3日制にどう対応すべきか 導入事例やメリットを解説

「選択式週休3日制」とは、希望者に対してはその理由を問わずに週休3日制での就業を認める制度です。すでに一部の企業では導入が進んでおり、人材の確保や従業員のスキルアップが期待される一方で、社内のルール整備や顧客への対応といった課題も見られます。

週休3日制が注目されるきっかけ

週休3日制が注目されるきっかけとなったのが、2021年4月の経済財政諮問会議における「選択式週休3日制」の提言です。

「選択式週休3日制」は選択式という名のとおり、希望者に対してはその理由を問わずに週休3日制での就業を認める制度です。

提言の意図として、以下の2点が期待されています。

  • 終身雇用を維持しながらの子育て・介護と仕事の両立
  • 大学院への進学等の学び直し機会創出によるキャリアアップ

なお、この提言は週休3日制を義務化させるものではありません。

そもそも労働基準法では1週間に1日の休日を与えることが義務化されているだけで(第35条)、週休2日制は法律上の義務ではないのです。

ただし、労働時間は1週間で40時間以下、1日で8時間以下と定められています(第32条)。これにより、フルタイム制(週5日勤務・週休2日)が一般化しているのです。

週休3日制に対する企業の取り組み

すでに週休3日制を導入している企業

みずほファイナンシャルグループ

みずほファイナンシャルグループは、2020年12月よりメガバンクとして初めて「週休3日・週休4日」を順次導入しています。

給与については、週休3日の場合で従来の8割に減額、週休4日の場合では6割に減額して対応しています。

ファーストリテイリング

UNIQLOなどを運営するファーストリテイリングは、2015年より週休3日制を導入しています。

1日10時間勤務、週4日出勤の「変形労働制」を採用し、給与は一般的なフルタイム勤務と同額です。

日本IBM

日本IBMは先進的に週休3日制を導入した企業で、2004年から「短時間勤務制度」を採用しています。

勤務パターンは週3日、週4日、週5日で労働時間6割、週5日で労働時間8割から選択でき、給与も勤務時間に応じて変動します。

週休2日制は企業の取り組みから普及した

日本で最初に週休2日制を導入したのは松下電器産業(パナソニック)で、1965年から実施されました。

松下幸之助は外国との競争に勝つために能率の向上を目指し、週休2日制を取り入れました。2日間の休暇も「ただ2日休むわけではない」とし、「1日休養、1日教養」という指針を示しています。

官公庁が週休2日制を導入したのが1992年、学校教育で週休2日が完全導入されたのは2002年からなので、週休2日制は企業の動きを後追いするかたちで浸透したことがわかります。

週休3日制も企業の取り組みが先行していることから、今後少しずつ浸透して当たり前のものになるかもしれません。

企業が週休3日制を導入するメリット

これまで出会えなかった人材とのマッチング

週休3日制を導入することで、これまで出会えなかった優秀な人材とマッチングする機会が生まれます。

例えば、育児や介護などによりフルタイム勤務はできないけれども、自社の基準を上回るスキル・経験を持つ人材と条件が折り合う可能性が出てきます。

採用難に悩む企業にとって週休3日制は、求職者から選ばれるための「強み」になるかもしれません。

離職リスクの低減

週休3日制を導入することで、育児や介護などを理由とした離職リスクを減らせる可能性があります。

介護・看護を原因とする離職は、「離職理由」全体に占める割合としてはまだ少ないものの、2007年から2017年のあいだで2倍も増加しています。今後、少子高齢化が進展していくなかで、週休3日制導入による柔軟な働き方への対応はより重要になるでしょう。

参考:株式会社大和総研「介護離職の現状と課題」

従業員のスキルアップやイノベーションの創出

週休3日制は育児や介護といったやむを得ない事情のみに適用されるものではなく、学び直しの機会として期待される制度です。

資格取得によって携われる業務範囲が増えたり、新規事業のアイディアを発案したりといった効果が期待されます。

週休3日制の導入によって考えられるデメリット

顧客とのコミュニケーション機会が減る

取引先の企業や一般消費者とのやりとりを行う際、週休3日制ではコミュニュケーションの機会が減ることになりかねません。

顧客からすれば対応してくれる日数が減ることになり、ビジネス上では不利と言わざる得ないでしょう。従業員の休みを分散させてタイムラグを生まないようにするなど、対策が必要となります。

給与や労働時間の変化に伴うルール整備

週休3日制を導入する際、労働時間と給与については以下のような対応が考えられます。

  • 休日を3日に増やし、給与はそのまま
  • 休日を3日に増やすかわりに、給与を下げる
  • 休日を3日に増やすかわりに、一日あたりの労働時間を増やし、給与はそのまま
    ※1日10時間×4日=40時間で、週あたりの労働時間を変えない

いずれにせよ、社内のルールを大きく変更することになり、準備・実行には多大な労力を要することになります。

従業員のパフォーマンスを維持できるか不透明

先んじて週休3日制を導入している企業もまだ少なく、従業員のパフォーマンスがどのように変化するかは不透明です。

特に週あたりの労働時間を減少させずに週休3日制を導入する場合、一日あたりの労働時間が2時間も増加し、結果的に従業員の負担となる可能性もあります。

どのようなかたちで週休3日制を導入するかでも違いはあるでしょうし、事業による向き不向きもあるでしょう。

まとめ

経済財政諮問会議での提言により注目される週休3日制ですが、すでに一部の企業では導入が進んでいます。

企業にとっては人材の確保と従業員のスキルアップが期待される一方、導入には大規模な社内ルールの整備が求められます。

週休2日制が一企業の先進的な取り組みから普及したように、今後「選択式週休3日制」を導入する企業が増え、「当たり前のこと」になるかもしれません。

今のうちに先んじて導入し、採用活動における強力な訴求ポイントとするのもよいのではないでしょうか。

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