人事異動の目的とデメリット 変化する価値観のなかで必要なこと
人事異動は「官公庁や会社などの組織で、構成員の地位や職務が変わること」と定義され、部署移動や転勤、昇進・降格など様々な意味合いを含みます。企業にとっては必要なことである一方で、価値観の変化によってデメリットも増え、実施には細心の注意が必要です。
目次
人事異動とは
辞書などにおいて人事異動は「官公庁や会社などの組織で、構成員(社員・職員)などの地位や職務が変わること」と定義されています。
一般的に人事異動は部署の配置転換の意味合いで用いられることが多いですが、実際には様々な意味合いを含みます。
部署異動
それまで在籍していた部署から新たな部署へ配置転換されることです。「総務部から営業部へ移る」といったケースがこれに当たります。
転勤
勤務地が変更されることです。なお、転勤は必ずしも部署異動を伴うものではなく、「営業部に在籍したまま、本社から別の営業所に移る」といったパターンも転勤となります。
昇進・降格
職位・役職が上がる(下がる)ことです。「課長から部長への昇進、部長から課長への降格」といった具合に用いられます。
出向
自社に籍を置いたまま、他社(グループ企業など)で勤務することです。
転籍
自社との雇用契約を解除して、他社(グループ企業など)で勤務することです。出向との大きな違いは、雇用契約を結ぶ先まで変更されることです。
人事異動の目的
多くの場合、人事異動には大きな労力が伴います。にも関わらず、どうして人事異動は実施されるのでしょうか。そこには主に3つの目的があります。
事業計画・経営目標の達成
事業計画・経営目標の達成には、人的資源の効率的な運用が欠かせません。
新たな部署(プロジェクトチーム)の設立や、現行の体制の見直しなど、目標・計画と社内の状況に応じて組織を最適化する必要があります。こうした組織活動の最適化にあわせて、適切な人員を再配置するわけです。
組織の活性化
流れない水が腐るように、同じ業務を続けることによるマンネリ化やアイディアの固定化などが組織運営を停滞させます。
人員の入れ替えを行うことで、これまでになかった発想や方法論が生まれ、組織の活性化が期待されます。
人材の育成
人事異動の目的には、人材の育成も含まれます。
これまでの日本企業は終身雇用制度を前提とし、ゼネラリストの育成を目指して従業員に様々な経験を積ませました。多くの部署で経験を積むことで広い視野や多様なスキルを獲得させ、幹部候補として成長を期待します。
しかし、終身雇用制度が形骸化しつつある現代においては一つの会社でキャリアを終えることが前提とならないため、従業員本人の意に沿わないキャリアパスは離職リスクを高める側面もあります。
人事異動によるデメリット
従業員のモチベーション低下・離職リスク
従業員が現在の職務・職位に満足しているのにも関わらず人事異動を行うと、モチベーションが大きく低下する恐れがあります。
就業規則に定めておけば、異動の命令を出すことは可能です。しかし、終身雇用制度が当然だった時代とは異なり、人事異動を理由とした離職につながる恐れがあることを認識しておきましょう。
スペシャリスト育成の阻害
人事異動によって職務・勤務先を転々とすることで、スペシャリストとしての道を絶つ恐れがあります。
これは専門性の高い部署に限った問題ではありません。例えば営業部でも、長年かけて構築してきた人間関係など「その人材でなければできないこと」が生じる可能性があります。不用意な人事異動は、その人材特有の強みを消してしまうのです。
技能や経験は、必ずしも後任者へ伝達できるとは限りません。スペシャリストとして高い生産性を持っていた人材の強みを消さないよう注意しましょう。
成果につながる人事異動に必要なこと
部署ごとの要望・問題点の聞き取り
事業計画・経営目標に基づいたマクロな目線だけでなく、部署単位で拾い上げている退職希望や人員のミスマッチ感など、ミクロな目線での要望・問題点を聞き取りましょう。
従業員のキャリアプランをくみ取る
上司や経営層が良かれと思って提示した人事異動であっても、本人の想定するキャリアプランにそぐわない可能性があります。
キャリアプランは企業内でのキャリアアップに限らず、家庭の事情や自身の密かな目標など、人それぞれに設定されるものです。企業と従業員双方が納得できる結果となるよう、コミュニケーションを重ねましょう。
期待やメリットを伝える
人事異動は会社の計画上で必要なことではありますが、終身雇用が形骸化している昨今においては、従業員にとっても利益があることと認識してもらう必要があります。
新しいポジションで期待する役割や得られる経験などを説明し、「飛ばされた」とネガティブに捉えられないよう注意しましょう。
異動後のフォロー体制を整える
異動後のフォローは部署ごとに任せきりにするのではなく、全社的な仕組みとして体制を整えておきましょう。
スムーズに業務に携われるよう段取りや目標設定などの受け入れ体制を整え、必要に応じて研修制度なども設けましょう。
これは採用活動の入社後の受け入れ体制とも重なる部分であり、応用・転用が可能です。
まとめ
人事異動は企業としては必要な施策ではありますが、従業員にとっては迎合するものではないという側面があります。
2019年からAIG損害保険が転勤制度を廃止し話題となりましたが、NHKの番組調査ではアンケートに回答した6割の学生が「転勤のない企業への就職を希望する」という結果がでました。
参考:https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4261/index.html
全国に広く営業所などを持つ企業は、自社内の人材を配置転換するのではなく、新たにその土地の人材を採用するといった対応の変換が求められるかもしれません。
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