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効果的な人材育成に欠かせない「ストーリー性」と「一貫性」

効果的な人材育成を行うためには、様々な手法を交えていく必要があります。今回はそのなかから、明日からすぐに使える「ストーリー性」と「一貫性」に焦点をあて、導入のポイントや効果について解説していきます。

ストーリーテリングを用いた人材育成

効果的な人材育成の手法のひとつに、ストーリーテリングが挙げられます。ストーリーテリングの意味は、物語を話して聞かせること。ありふれたテーマや抽象的な内容を伝える際、体験談などの「物語」によって伝えることによって、具体的なイメージを描きやすくなり共感が得られやすくなります。

ビジネスの場では主にプレゼンで用いられる手法であり、エピソードを用いて伝えることにより、聞き手の印象・記憶に残りやすくする狙いがあります。

このストーリーテリングを人材育成に生かすことで、効率的な成長が期待できるのです。

抽象的な内容を具体的にする

ストーリーテリングを用いることで、抽象的な内容を具体的にして伝えることができます。

単に数字や専門用語を提示しても、なかなか聞き手の頭には入っていかないものです。データが意味するところや馴染みのない専門用語は、物語として具体例を交えて伝えることで、聞き手のなかで共感とともに理解が深まっていきます。

理念の共有

社内で企業理念を浸透させるときにも、ストーリーテリングの手法は有効です。

例えば「お客様の満足につながる仕事をする」という理念を新入社員に伝えるとしましょう。このとき新入社員からすると「どういったことがお客様の満足につながるのか」がわからず、抽象的な話として受け取られてしまいます。

そこでストーリーテリングを用いて「〇〇で困るお客様に△△を提案したところ、とても喜ばれた」というエピソードを交えれば、「△△のようなことをすればお客様が喜ぶ」と聞き手の理解が得られるというわけです。

根拠としての働き

頭ごなしに「〇〇をしなさい」と伝えても、受け手は「なぜ行うべきなのか、どんな効果があるのか」といった疑問を抱きます。

この場合もストーリーテリングを用いて「私は以前に〇〇をしなかったため、こんな失敗をしてしまった」とエピソードを添えることで、受け手は根拠の具体例を知ることができ納得が深まります。

一貫性のある人材育成

人材育成においては、一貫性を持たせることが大切です。ただ一口に一貫性と言っても、様々な場面で異なる「一貫性」が必要となります。

育成方針における一貫性

一貫性がとにかく重要になるのが、育成方針です。とくに「スペシャリストを目指すか、ゼネラリストを目指すか」という方針は、途中変更されると「中途半端な人材」になりかねません。

また場当たり的な配置転換は、従業員にとっても成長の実感が伴わず、エンゲージメント(愛社精神)も育まれません。育成どころか、離職のリスクが高まる結果となってしまいます。

やむを得ず一貫性を損なう方針転換を行う際は、その後の明確なキャリアパスを提示できるよう配慮しましょう。

社内ルールや評価制度にも一貫性を

育成方針が明確であっても、ルールや評価制度がそれを阻害してしまうことが往々にして起こりえます。

例えば育成方針として「イノベーションを起こす人材を育成する」と掲げているのに、「評価制度にインセンティブがない」「社内ルールが先例主義」といった環境では、目標とする人材は育ちません。

こうした環境による阻害は、明文化されたルールだけに限りません。「新人が発言しにくい空気が漂っている」といった、職場の雰囲気なども影響を与えます。

社内の環境と目指すべき方向性が一貫していることで、効果的な人材育成が可能となるのです。

一貫性は求職者に押し付けない

マルコム・グラッドウェル(米・ジャーナリスト)が『天才! 成功する人々の法則』で提唱した「1万時間の法則」のように、一貫性をもって継続することが優秀な人材に育つ条件のひとつでしょう。
※1万時間の法則:ある分野で一流となるためには、1万時間の努力が必要という説

しかし、採用の場で一貫性を絶対条件とするのは、得策ではありません。一見するとバラバラに見える職歴でも、応募者当人にとってはやむを得ない事情や確固たる信念をもとに選択した道筋かもしれません。

逆に一貫性があるように見えても、「流されるままに生きていたら、一本の線になっただけ」ということもあるでしょう。

ジョブホッパーと呼ばれる「短期間で転職を繰り返す人材」は、早期離職の可能性があることは事実です。しかし、キャリアにおける一貫性は曖昧なものです。応募者の「1万時間の努力」が、必ずしも書面上に浮かび上がっているとは限りません。

採用の場では一貫性という言葉に惑わされず、しっかりと求職者の本質を見抜くよう心がけましょう。

方針転換を恐れない

一貫性のある人材育成で忘れてはいけないのが、方針転換を恐れないことです。一貫性という言葉と矛盾するように思えるかもしれませんが、現代は目まぐるしく価値観が変動します。2020年以前は、新型コロナウイルスによって社会全体が激変するとは想像もしなかったでしょう。

新型コロナウイルスの例は極論ではありますが、少子高齢化やグローバル化などの様々な要因から、環境は目まぐるしく変化しています。人材の理想像も刻一刻と変化していくことから、ときには傷が深くならないうちに方針転換に踏み切る決断力も大切なのです。

まとめ

少子高齢化による労働力人口減少に伴い、優秀な人材の確保が企業の存続に直結する時代となりました。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、他業種からの人材を採用する企業も増えることでしょう。

いずれにせよ、人材育成の重要度は高まるばかりであり、効果的な育成手法が求められます。そのなかでも「ストーリーテリング」と「一貫性」は、今日から行える手法といえます。

効率よく新卒者や未経験者を優秀な人材に育て上げ、生産性の向上を目指しましょう。

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