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「定年延長」は2025年から義務に! 定年退職に伴う対応と手続きとは

2025年4月からすべての企業に「65歳への定年の引き上げ」「定年廃止」「65歳までの継続雇用制度」のいずれかの対応が求められます。方針の決定後も、従業員への意思確認や再雇用の手続きなど課題は山積みです。人事が知るべき定年退職に伴う対応と手続きを解説します。

定年退職とは

定年退職とは、企業の定める一定の年齢に達したことを理由として退職すること。

かつては多くの企業が55歳を定年として定めていましたが、1986年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正されたことにより、60歳定年が努力義務として定められました。

さらに1994年の改正で60歳未満の定年制が禁止となり、2012年の改正では希望者に対しては原則65歳まで雇用することが定められています。

そして2021年の改正では、70歳までの定年延長が努力義務として定められてました。現在は法改正の経過措置期間にあたり、2025年4月からはすべての企業に「65歳への定年の引き上げ」「定年廃止」「65歳までの継続雇用制度」のいずれかが義務づけられます。

定年延長による企業への影響

長年培われた経験やスキルを維持できる

熟年技術者などの長年培われた経験やスキルは、他には代え難い価値があります。これまでであれば、年齢を理由として惜しまれつつ退職した人材を継続して雇用できるのはメリットといえるでしょう。

社内の人口ピラミッドが崩れる

定年退職は企業にとって、新陳代謝の機能があります。定年が延長されることにより高年齢層の比重が高まり、社内の人口ピラミッドが崩れてしまう恐れがあります。

結果的に、「人件費の圧迫で若手人材を採用しにくくなる」「人材の入れ替わりが滞り、新しい発想が生まれにくくなる」といった問題が生じる恐れがあります。

新たなルールの整備が求められる

定年延長に伴い、嘱託社員への切り替えや60歳以上の新たな給与体系など、企業には様々なルールの整備が求められます。経営層や人事部にとっては、決して軽くはない負担となるでしょう。

定年延長に伴う企業の選択

定年延長に伴い、企業には3つの対応のいずれかが求められます。社内の状況なども鑑みて、対応を検討しましょう。

参考:厚生労働省 令和2年「高年齢者の雇用状況」

定年を引き上げる

雇用形態は正規雇用のまま定年を引き上げ、必要に応じて給与水準を落とすなどの対応を行います。「高年齢者の雇用状況」によれば、20.9%が定年の引き上げを選択しています。

現状では「選択型定年制度」を導入している企業が多く、従業員のライフプランに合わせて、60~65歳のあいだで定年を選択してもらいます。この場合、一定の年齢に達した際に意思確認を行い、60歳前に最終確認を行うといった流れとなります。

定年制度の廃止

企業として、定年制度を廃止する選択も考えられます。従業員にとっては将来の経済的な不安の解消となるでしょう。

一方で、健康上の問題や加齢に伴う生産性の低下など、目を背けるわけにはいかない問題も生じます。こうした状況に陥った従業員をどのように解雇するかは、難しい課題となるでしょう。

年功序列型の賃金形態の場合は、60歳前後で見直しを行い、新たに給与を改定するなどの対応も必要となります。

「高年齢者の雇用状況」によれば、2.7%の企業が選択しており、最少の選択肢となっています。

継続雇用制度

継続雇用制度とは、従業員の希望に応じて定年後も引き続き雇用する制度です。主に、再雇用制度と勤務延長制度に分けられます。「高年齢者の雇用状況」によれば、76.4%の企業が継続雇用制度を導入しており、最も多い選択肢となっています。

再雇用制度

再雇用制度は、定年で退職手続きを行った後に改めて再雇用する制度です。非正規雇用(嘱託社員)として雇用することが多く、企業としては雇用年数に応じた退職金の増額を防ぐ狙いもあります。

勤務延長制度

勤務延長制度はその名のとおり、定年を迎えたあとも継続して雇用を続ける制度です。従業員が固有のスキルや経験などを持っており、変わらず自社の戦力として働いてほしい場合に適用されることが多い制度です。

定年退職または再雇用までに必要な対応

企業としてのルール(対応)を定めたあとは、従業員本人の意向を確認しなければなりません。当人が新たな道を模索しており、退職の意志がある場合も当然あるでしょう。以下、順を追って解説していきます。

意思確認

まずは一定年齢以上の従業員に対して、意思確認を行いましょう。定年退職者の人数は採用計画にも影響を与えるため、先々を見据えて進めていく必要があります。

ヒアリング後は本人の意思に従い、定年退職または継続雇用の準備を整えます。ただし、健康上の問題や金銭的な理由などから希望が変更されることも十分に考えられるため、最終決定のタイミングは対応可能な範囲でぎりぎりに設定しておくとよいでしょう。

条件提示

60歳以降の就業意志がある場合、条件を提示しなければなりません。勤務延長制なのか、再雇用制なのか。再雇用制の場合は職位や給与について確認を行いましょう。

再雇用の手続き

再雇用が決定した場合、定年退職をしたうえで再び雇用するかたちになるため、各種保険の喪失手続きや退職金の準備などが必要となります。

勤務延長の場合も給与や勤務時間などに変更があるならば、新たに雇用契約を結ぶ必要があります。

まとめ

日本では短期間で定年延長の法改正が繰り返されていますが、少子高齢化が著しいこの国だけの動きではありません。アメリカやイギリス、カナダなどの諸外国は原則的に定年制を禁止(廃止)しており、定年の延長や廃止が世界の流れとなっています。

定年延長が続くことにより、社内では高年齢の従業員が増えます。これに伴って重要になるのが、新規採用と若手人材の育成です。社内の平均年齢が高まるにつれて、少数派となる若手には次世代を担う人材としての役割が求められます。

定年退職にまつわる対応を行う際は、社内の人口ピラミッドを意識して、採用計画を合わせて考えていくようにしましょう。

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