建設業では若者の人手不足が深刻です。さらにジョブローテーションによる育成も必要になるので、新卒採用が重視されます。しかし、建設業では新卒採用が難しいとされます。それはなぜでしょうか?この記事では、新卒採用がうまくいかない理由、新卒採用を成功させるためのポイントなどについて解説します。
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多くの日本企業では新卒採用に力を入れ、5年・10年のような長期的スパンで育成しようとしています。建設業においても新卒採用の重要性は同様で、以下の2つのポイントが挙げられます。
建設業は若者の人手不足が深刻です。国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」(2016年)によれば、29歳以下の若者の就業率は11.4%と低い割合です。一方、55歳以上の就業率は33.9%でした。建設業においては若者の人手不足が深刻となっています。建設業では新卒採用を行い、若者の人手不足を補うことが求められます。
日本企業では、人材開発の方針としてジェネラリスト育成を設けることが多いです。理由は複数の職務を経験し、マネジメント能力を養っていくからですね。建設業でも同様で、例えばゼネコンなら、現場監督としてスタートし、積算や営業などを経験して管理職を目指していきます。
複数の職務を経験するには若ければ若いほど多くの経験を積めます。そのため、建設業においてジョブローテーションによる育成が重要になるのです。
建設業において新卒採用は重要です。しかし建設業では若者の人手不足が深刻となっており、中途採用によって人材を補っています。若手の人手不足の原因として、建設業で新卒採用がうまくいかないことが挙げられます。その理由について説明します。
建設業では未だに3Kのイメージがあります。3Kとは「きつい・危険・汚い」という言葉の頭文字を取った用語です。建設業では肉体労働・危険作業が伴いますから、学生が志望したがりません。建設業は「地図に残る仕事」であり「社会的役割」がある仕事なので、本来やりがいがある仕事です。
しかし、学生は社会人経験がありません。建設業というだけで3Kのイメージを結び付けて応募したがりません。企業が学生にうまく訴求できないと、建設業には学生が集まらなくなるのです。
建設業は長時間労働が多いため、新卒採用がうまくいきません。国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」では、建設業の残業・休日労働時間を160時間に上ると発表しています。全産業の残業・休日労働時間132時間なので、建設業の方が32時間も多いことになります。長時間労働を是正しないと、新卒採用がうまくいきません。
大手企業やグループ企業であれば知名度が高いので、学生の方から応募してくれます。一方、中小企業では学生に名前を知られていないため、新卒サイトに登録するだけでは学生を集めることができず新卒採用に苦労します。そのため、企業の方から学生にアプローチする攻めの採用が必要となります。
学生の専攻分野は、業界によって希望する専攻分野が異なります。例えばメーカーなら機械科や電気電子工学科を希望します。もちろん他の学科の学生でもメーカーに就職できますが、機械科や電気電子工学科の方が有利。建設業ではどうかというと、建築学科を専攻している学生が有利です。
そのため、建設業では建築学科が取り合いになります。ゼネコンでいえば、スーパーゼネコン・準大手ゼネコン・中堅ゼネコンなどの企業が建築学科を取り合います。学生の方でも規模が大きい会社に行こうとします。ですから中堅規模未満のゼネコンでは、なかなか建築学科の学生を採用できないのが現状です。ゼネコン以外の企業でも、建設業では建築学科を取り合うので、建築業では新卒に苦労するわけです。
では他の理系なら採用できるかというと、電気電子工学科ならメーカーに、化学科なら化学系企業に就職します。理系の修士卒は研究・開発職に就職していきます。規模が小さい建設業が新卒採用で成功するのは難しくなります。
建設業で新卒採用を成功させるためのポイントを2点、紹介します。
3Kや長時間労働などのイメージを学生が持っている状態では、新卒採用がうまくいきません。ですから時間をかけてでも良いので、自社の働きやすい環境づくりに努めましょう。効率的な人員配置、ICTへの取り組みを通じて長時間労働を是正していって下さい。
また、3Kイメージを払しょくするために、現場環境の整備、5Sの徹底、作業着のクリーニング支援などによって、清潔な労働環境を維持していることをアピールします。
企業の名前が知られていないと学生を募集することが難しいです。学生への知名度を高めるため、自社のホームページを制作して情報発信しましょう。就職サイトに高額な広告を出稿しても、期間がくれば広告は掲載が終了します。一方、就職サイトならインターネット上にずっと残り続けるので、学生に訴求し続けることができるのです。
ホームページを使い企業の魅力をうまく伝えられれば、中小企業でも学生を採用できるようになります。なお検索で上位表示されるには継続的な更新が必要になるので、簡単に更新できるホームページのクラウドサービスを使うと効果的です。
若者の人手不足が続く建設業では、新卒採用を重視する必要があります。これまで述べてきたように建設業では新卒採用が難しいです。新卒採用を成功させるために「働きやすい環境づくり」「自社ホームページによる情報発信」などを活用することがポイントです。