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ノーレイティングとは?メリット・デメリット、導入のポイントを解説

2016年頃より日本で注目され始めたノーレイティング。ノーレイティングとは、リアルタイムのフィードバックを重視した評価の仕組みのことです。ノーレイティングの特徴とは何か、メリット・デメリット、導入のポイントについて詳しく解説します。

ノーレイティングとは?

ノーレイティングの意味、従来の評価制度とどのように違うのか、そしてノーレイティングが注目された背景について説明します。

ノーレイティングの特徴

ノーレイティングとは、リアルタイムのフィードバックを重視した評価の仕組みです。ノーレイティングの特徴は次の通りです。

  • 1.頻繁にフィードバックする
  • 2.その都度評価する

ノーレイティングでは、目標管理制度と同じように期初に目標設定します。そして、ノーレイティングは頻繁にミーティングの機会を設けます。部下からミーティングしたいといわれた場合、評価者は断ることができません。日常業務の中で気づいた点があれば、評価者は部下にフィードバックします。また、期初に設定した目標に修正があれば変えていきます。そして、フィードバックの都度、部下に評価を与えていきます。

誤解しないでいただきたいのは、ノーレイティングは評価をしないことではないという点です。その都度、与えた評価が積み上がることで期末の評価に活用されます。

従来の評価制度との違い

ノーレイティングと従来の評価制度との違いはどんな点にあるでしょうか?従来の評価制度は、上期や下期あるいは年1回の頻度で評価しました。しかし、例えば4月に設定した目標について、半年後にフィードバックされても部下としてはピンとこない場合がありますよね。その点、ノーレイティングはフィードバックの都度、リアルタイムで評価していくので部下の行動変容に繋げやすくなります。

ノーレイティングのメリット

ノーレイティングのメリットについて解説します。

部下が評価に対して納得できる

ノーレイティングではリアルタイムの評価を蓄積することで期末の評価を行います。部下はフィードバックと共に評価されていき、リアルタイムの評価がそのまま期末の評価となります。従って、部下は自分の仕事の進め方や行動のどんな点が良かったのか、あるいは改善すべきだったのかといった点について納得しているので、評価を受け入れやすくなるのです。

部下がモチベーションを向上できる

ノーレイティングでは部下がモチベーションを向上できるというメリットがあります。ノーレイティングでは高い目標を設定することが多く、高い目標を達成するためにどうしたら良いかをミーティング中に評価者・部下間で話し合いながら進めます。

モチベーション向上の理論的背景を確認しましょう。E・A・ロックが提唱した目標設定理論では、モチベーションの違いは目標設定の内容によると説明されます。曖昧よりは明確な目標、低い難易度よりは高い難易度の目標の方が部下のモチベーションを高めることに繋がります。

行動経済学を扱った書籍『行動経済学の現在と未来』では、目標設定理論が活きるには部下の自己効力感、部下と評価者の目標設定の方向性が合っていることが必要になると説明します。ノーレイティングでは頻繁にミーティングを行い、話し合いのテーマが目標設定であるため、部下のモチベーションを向上させられるといえます。

ノーレイティングのデメリット

ノーレイティングのデメリットを2つ解説します。

評価者にマネジメント力が不足するとうまくいかない

ノーレイティングでは頻繁にミーティングし、リアルタイムでフィードバックや評価を行います。そのため、評価者に課せられるマネジメント力は高いレベルが求められます。部下の仕事の力量に合わせて指導方法を変えたり、部下の話を傾聴したり、緊急事態には評価者の力をもって軌道修正していける。高いマネジメント力がなければノーレイティングはうまくいきません。

また、そもそも評価者・部下の間で信頼関係がなければむしろモチベーションを低下させる懸念もあります。頻繁なミーティングも上司を評価していない部下にとっては苦痛となるでしょう。

評価者に負荷がかかる

ノーレイティングでは評価者に負荷がかかるのもデメリットです。従来、年1~2回で良かったのに、ノーレイティングでは頻繁にフィードバックしなくてはなりません。部下が要求すれば評価者はミーティングを拒めません。プレイングマネジャーとして多くの実務を抱えながらマネジメントを行っている評価者は、ノーレイティングの導入のためにさらに多くの労働時間を費やすことになりかねません。

ノーレイティングの導入のポイント

ノーレイティングを導入するにはどうしたら良いか、ポイントを解説します。

現状の人事評価制度の課題を把握する

現状の職能資格制度や職務等級制度などの等級制度は、ノーレイティングとリンクさせることができます。ノーレイティングを導入するにあたって等級制度を変える必要はないので、現状の人事評価制度の課題を洗い出すことから始めましょう。

導入に向けて評価者を育成する

ノーレイティングには高いマネジメント力が必要なので、社内の評価者を見渡しマネジメント力が低い人材が散見される場合には、評価者の育成も求められます。いきなりノーレイティングを導入するのではなく、数年後のノーレイティング導入を目指して、評価者のマネジメント力を向上させる人材育成を進める選択肢も場合によっては必要ですね。

評価の決定方法を決める

ノーレイティングでは、リアルタイムで評価するので、評価の決定方法も決めておく必要があります。ノーレイティングでは部下の求めに応じてミーティングを開催することになっていますから、評価もその都度発生します。部下の要求がなかったとしても、最低限四半期の1度以上はミーティングを行い、評価する必要があります。

評価の決定方法はできるだけシンプルなものにして、3~5段階程度の定量的な評価がベストです。評価者が求める成果に対して、部下がどれだけ貢献してくれているかといった観点で評価基準を決め、シンプルに評価できる方法を決めていきます。

従業員に周知する

ノーレイティングの評価決定方法や進め方がおおむね固まり、新しい評価制度として移行できる段階にきたら、従業員に周知しましょう。これまで評価者が部下とのミーティングを怠ってきた場合には、大きな変革となりますので丁寧な説明が必要になります。

まとめ

ノーレイティングと聞くと「評価しないことでは?」と誤解していた方もいらっしゃるかもしれません。ノーレイティングはリアルタイムでフィードバックする評価の仕組みです。頻繁に評価者・部下間で話し合う機会を設けることで、部下のモチベーションを高め、また、納得できる評価を与えられます。デメリットも考慮しながら導入の参考にして下さい。

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