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ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型との違い、メリット・デメリットを解説

経済・経営の不確実性などにより、ジョブ型雇用という働き方が注目されています。ジョブ型雇用とは仕事に人を割り当てる働き方。日本で進められてきたメンバーシップ型雇用との違い、ジョブ型雇用のメリット・デメリットについて解説します。

ジョブ型雇用について

ジョブ型雇用とは仕事に人を割り当てる働き方をいいます。職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)に仕事内容・勤務地・給与などが明確に書かれています。労働者は、ジョブ・ディスクリプションに書かれた仕事のみを行うため、基本的に配置転換や転勤がありません。ジョブ型雇用では、求人の段階で入社後に担当する仕事が明確になっています。

ジョブ型雇用が求められる理由

ジョブ型雇用が日本で求められるようになった理由は、経済の不確実性に対応するためであることが挙げられます。経済には不確実性がつきものですが、特にデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応は急務で、企業の生死を左右するほどです。経済産業省が「2025年の崖」と表現したように、企業が既存システムの刷新を怠った場合、経済が停滞するリスクが生じます。

また、2020年よりパンデミックが始まった新型コロナウイルスにより、企業はテレワークによる働き方を余儀なくされました。グローバル化は、企業に欧米で主流のジョブ型雇用を採用する必要が迫られています。

これらの理由から、日本ではジョブ型雇用による働き方が求められてきています。DXは、企業にゼネラリストではなくスペシャリストを求めます。ジョブ型雇用は仕事に人を割り当てますからスペシャリスト育成にピッタリです。そして、新型コロナによるテレワークの進展は、仕事の成果で評価できるジョブ型雇用が適しているのです。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用との違い

欧米では主流であるジョブ型雇用と違い、日本ではメンバーシップ型雇用を採用してきました。メンバーシップ型は人に仕事を割り当てる働き方で、仕事内容や勤務地が限定されません。そのため、新卒一括採用も可能になったといわれます。2つの働き方の違いを見ていきましょう。

仕事

ジョブ型雇用では、ジョブ・ディスクリプションによって仕事内容が明確に定められています。ジョブ・ディスクリプションに定められた仕事以外、労働者は行う必要がありません。

一方でメンバーシップ型雇用では、仕事内容が明確に定まっていません。どんな仕事を担当するのかについては、企業の人事戦略に左右されます。

賃金制度

ジョブ型雇用の賃金制度は職務給です。賃金も仕事内容にひもづいていて、仕事内容が同じであれば昇給しない仕組みです。

メンバーシップ型雇用の賃金制度は職能給が多いです。労働者の能力に対して賃金を支払います。ただ、仕事を遂行する能力を客観的に評価することは難しく、メンバーシップ型雇用では年功序列的となり、そのため人件費は高騰しがちとなります。

配置転換

ジョブ型雇用では、配置転換はほとんどありません。勤務地が決まっているため、転勤や異動がないからですね。一方、ジョブ型雇用では、仕事がなくなれば解雇されることもあり得ます。労働者の仕事はジョブ・ディスクリプションで決まっています。仕事がなくなったから違う仕事が与えられる訳ではありません。

メンバーシップ型雇用では、仕事内容・勤務地は企業の人事戦略に左右されます。そのため、転勤や異動、出向、転籍などがあります。日本では労働契約法があるため、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上妥当だと認められない限りは解雇できません。

ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 雇用のミスマッチを防げる
  • 専門性を高められる
  • 人材育成しやすい
  • 人材の流動性が高まる

雇用のミスマッチを防げる

ジョブ型雇用では、企業は労働者にどんな仕事を任せたいかを伝えています。また、求人の段階で労働者は自分がどんな仕事を担当するか分かっています。そのため、企業・労働者間で、入社後の働くイメージが湧きやすいため雇用のミスマッチを防げるといえます。

専門性を高められる

ジョブ型雇用では、ジョブ・ディスクリプションに決められた仕事だけを企業は労働者に求めます。そのため、労働者は自分の専門性を高めることができます。

メンバーシップ型雇用では、企業は労働者に専門外の仕事を任せることができました。例えば経理部の社員に総務の仕事を依頼することもできます。しかし、ジョブ型雇用なら専門外の仕事を依頼することはないですし、労働者も依頼を断ることもできる訳ですね。よって、ジョブ型雇用では専門性を高められるのです。

人材育成しやすい

ジョブ型雇用は仕事に人を割り当てる働き方です。能力があって成果さえ出せれば、年齢・勤続年数に関わりなく労働者はレベルの高い仕事をすることができます。そのため、労働者は自身の能力を高め、成果を出そうとスキルを磨きますのでジョブ型雇用は人材育成しやすいのです。

ただ、ジョブ型雇用にしたからといって自動的に労働者が成長する訳ではないので、企業が人材育成施策を講じる必要はあります。労働者が能力を高め、スキルを磨く意欲を後押しする施策が必要です。

人材の流動性が高まる

ジョブ型雇用では専門性を高めることができます。ジョブ型雇用ではジョブ・ディスクリプションによって仕事内容が明確ですから、専門性は他社でも通用する可能性があります。一方、メンバーシップ型雇用では、専門性が社内でしか通用しないこともあります。両者の違いは、人材の流動性に関わってきます。

社内でしか通用しない専門性を持った労働者はなかなか転職しようとしないでしょう。企業に残り出世を待った方が給与増や昇進のチャンスに恵まれると考えるからです。しかし、自社でも他社でも通用する専門性を持てるジョブ型雇用なら話は別です。機会があれば労働者は転職しようとします。ジョブ型雇用なら、人材の流動性が高まるのです。

ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用にもいくつかのデメリットがあります。

キャリアアップしにくい

ジョブ型雇用では、労働者が能力を高め、スキルを磨く意欲が生まれがちとなります。しかし、労働者を放っておいても育つ訳ではないので、企業が人材育成施策を講じておかなくてはなりません。

もし施策を講じないでいるとどうなるでしょうか?一部の優秀な人材は自分で成長するかもしれませんが、多くの人材はキャリアアップすることさえもできなくなるでしょう。そして、自分に自信を失い、ますます成果を上げにくくなります。

米国と違い容易に解雇できない

日本のジョブ型雇用では、仕事がなくなったといっても直ぐに解雇することができません。労働契約法がしっかりと労働者を守っているからです。

ジョブ・ディスクリプションに定められている仕事を遂行できなかったり、成果を上げられなかったりする労働者が出ても、日本では容易に解雇することはできません。上司による指導は適切か、配置転換をしようとしたかが問われるからです。配置転換が認められるようになると、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いがあいまいになってしまいかねません。

まとめ

仕事に人を割り当てるジョブ型雇用。新型コロナウイルスの拡大により、ジョブ型雇用を採用している企業が増えるかもしれません。しかし、雇用制度の選択は、一時の流行に流されないことが大切。メンバーシップ型雇用との違い、メリット・デメリットを把握しつつ、自社にジョブ型雇用が合うかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。

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