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年功序列制度の仕組み 継続の鍵は採用活動

年功序列は勤続年数や年齢に応じて、賃金・役職などの待遇を上げていく人事制度。日本企業が長く採用してきた制度で、安定した育成や定着率の向上といったメリットがあります。しかし、価値観の変容や社会構造の変化から問題が生じ、成果主義へ移行しつつあります。

年功序列とは

年功序列とは、勤続年数や年齢に応じて、賃金・役職などの待遇を上げていく人事制度のこと。「勤続年数が長くなるほど経験が増え、スキルも向上する」という前提に基づいており、日本企業の人事制度の主流として運用されてきました。

運用される人事制度の割合

「日本の人事部 人事白書2017」によれば、年功序列を採用している企業が46.7%(「当てはまる」16.3%+「どちらかといえば当てはまる」30.4%)であるのに対し、成果主義を採用している企業は(「当てはまる」25.5%+「どちらかといえば当てはまる」49%)74.5%となっています。

参考:日本の人事部 人事白書2017

すでに日本社会においても、成果主義的な人事制度を運用する企業が年功序列制度を上回っています。

働き手は成果主義を求めている

朝日生命保険相互会社「『働き方調査アンケート』調査結果」によれば、71.3%の働き手が「実力主義の会社を求めている」と回答しました。

参考:「働き方意識調査アンケート」調査結果

企業の変化以上に、働き手の意識は年功序列制度から離れている様子が伺えます。

年功序列制度のメリット

現在ではネガティブな印象を持たれがちな年功序列制度ですが、日本で長いあいだ主流の人事制度として運用されるだけのメリットもあるのです。

定着率の向上

「長く働いていれば賃金も役職も上がる」という前提があるため、従業員は永年勤続を基本として働き、従業員の定着率が向上します。加えて、長く仕事を共にすることから、従業員間の一体感も高まっていくことが期待されます。

また、離職者が少ないということは、欠員補充のためにかかる金銭・人的コストを抑えられるというメリットにも繋がります。

安定した育成計画を実施できる

年功序列はベテラン層が流出しにくいことから、若手人材への技術の伝承をスムーズに行えます。従業員の離職を想定せずに長いスパンで育成計画を立てられるため、若手人材の育成も安定したものとなります。

人事評価が明解になる

勤続年数と年齢が大きな指標であることから、人事評価が誰の目にもわかりやすいものになるのもメリットといえます。

また、長年の就業によって勤務態度やスキルが十分に把握できるため、転勤・異動といった配置転換も行いやすいといえます。

従業員がライフプランを立てやすい

従業員にとっては勤続年数につれて給与が上がっていくことが保証されることから、ライフプランの設計がしやすいというメリットがあります。とくに住宅の購入や子どもの教育費といった大きな出費を計算できるのは、大きな安心につながるでしょう。

年功序列制度の廃止が進む理由

価値観の変容や社会構造の変化から、近年はとりわけ年功序列制度のデメリットが指摘されます。具体的にどのような問題点があるのでしょうか。

人件費の圧迫

年功序列は、新規採用と定年退職のサイクルを想定して運用される制度です。しかし、現在の日本は少子高齢化が著しく進み、この前提が通用しなくなりました。

少子化によって若手人材の採用は難しくなり、定年も1980年代までは55歳だったものが、2021年の法改正では70歳までの定年延長が努力義務として定められ、どんどん後ろ倒しになっています。社内の高齢化が進めば、年功序列制度は人権費の圧迫に直結します。

また、業績が悪化した際に人件費を下げにくいという面でも、人件費圧迫のリスクが潜んでいます。

優秀な人材を中途採用しにくい

年功序列制度は年齢と勤続年数が評価のベースとなり、成果を出しても給与が上がりにくいという問題があります。このことから、年功序列制度に中途入社すると、勤続年数が短い分だけ不利となってしまうのです。当然ながら、優秀な人材は成果主義的な企業を選ぶでしょう。

また、以前であれば成果主義的な企業も少なかったため、優秀な若手人材も社内に留まってくれましたが、現在の環境であれば容易に転職ができてしまします。社内の若手人材の流出リスクも無視できない問題といえます。

チャレンジ精神が失われる

年功序列制度はその性質から、チャレンジ精神が失われる恐れがあります。成果を出しても評価に直結せず、年齢を重ねれば評価が上がるということは「リスクを避けて最低限の仕事をすれば良い」といえるからです。

コロナ禍で年功序列制度に光?

年功序列制度は、日本の高度経済成長を前提に運用されてきました。つまり、経済や業績の右肩上がりの発展が必須条件の制度なのです。今後も年功序列を継続して運用するためには、業績の維持・向上が欠かせません。積極的な採用活動を行い、社内の高年齢化を防ぎつつ、事業を拡大する必要があるわけです。

その点でコロナ禍は、年功序列制度の企業にとって追い風となる変化を与えました。ある人材系企業の調査によれば、求職者の9割以上が「安定した仕事」への転職を希望しています。

参考:コロナ禍に転職活動中の20~30代、9割以上が「安定した仕事」を希望 会社の知名度や規模にこだわらず、福利厚生や社内制度の充実を求める傾向

育成制度や定着率の高さ、ライフプランの立てやすさなど、年功序列制度の「従業員が安心して働ける環境」をアピールすれば、求職者にとっても強い応募動機となるでしょう。合わせて「なぜ現在も年功序列制度を続けているか」を伝えると、求職者の納得に繋がるはずです。

しっかりと求職者へメッセージを伝え、自社のアピールをするためには、自社採用サイトの活用をおすすめします。

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