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雇用調整助成金とは?特徴・メリット・受給方法について

企業が経営を悪化させた場合、従業員を解雇せず経営を安定化させたい時に使えるのが雇用調整助成金という制度です。雇用調整助成金の特徴や受給方法、そして新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例についても解説します。

雇用調整助成金とは?

企業が経営を悪化し事業の縮小を余儀なくさせられた場合、コストカットのターゲットになりやすいのが人件費。コストカットの中でも解雇は、従業員を辞めさせることで賃金が発生しなくなることから、経営が悪化した企業が採りやすい施策といえます。

事業の縮小をせざるを得なくなった企業が従業員を辞めさせず休業や出向などの措置で対処した場合、費用の支援をしてもらえるのが雇用調整助成金です。雇用調整助成金は、従業員の雇用を守り事業を運営していく企業をサポートするための助成金です。

雇用調整助成金が必要な理由

経営が悪化した企業に雇用調整助成金が必要な理由として以下の2つがあります。

  • 経済的不安を解消するため
  • 人材の流出を防ぐため

企業の経営が悪化した場合、従業員を解雇すれば将来にわたって賃金を払わなくて済むため大きなコストカットに繋がるでしょう。しかし、経営が悪化した企業全てが同じことを考えたらどうなるでしょうか?市場では失業が相次ぎ、雇用が不安定となり、経済全体の不安に陥ります。経済的不安を解消するため、政府が企業に雇用調整助成金を支給することで雇用継続に繋げるのです。

従業員を解雇することで企業がコストカットを成し遂げたとしても、人材が必要になった時、すぐに確保できるとは限りません。また、自社内で通用する専門スキルが強ければ強いほど、労働市場から調達しにくく育成にも時間がかかるのです。せっかく育てた人材の流出を防ぐためにも雇用調整助成金は必要です。

雇用調整助成金の特徴

雇用調整助成金の対象者、受給の条件などの特徴を確認していきましょう。

対象者

雇用調整助成金の対象者となるのは、雇用保険の適用事業所に勤務する被保険者です。正社員は雇用保険の被保険者ですが、パート社員については労働時間によって雇用保険の被保険者とならないことがあります。

受給の条件

雇用調整助成金の受給条件にはいくつかの制限があります。前提として、企業が雇用保険の適用事業所であること、そして従業員が雇用保険の被保険者であること、従業員を6か月以上にわたり雇用し続けていることなどが挙げられます。

売上高・生産量などの数値のうち、直近の平均3か月間の平均値が前年同期に比して10%以上減少していることや、過去に雇用調整助成金を受給したことがある場合には、直前の助成金受給満了の日付の翌日から1年を経過していること(生産指標要件)なども雇用調整助成金の受給条件となります。

受給金額

雇用調整助成金を受給する場合、どの程度の受給金額を受けられるでしょうか。中小企業の助成率は休業、教育訓練、出向によって以下のように異なります。

  • 休業:休業手当の2/3
  • 教育訓練:賃金負担額の2/3+1,200円/日
  • 出向:出向元企業の負担額の2/3

そして大企業の助成率は以下の通りとなっています。

  • 休業:休業手当の1/2
  • 教育訓練:賃金負担額の1/2+1,200円/日
  • 出向:出向元企業の負担額の1/2

雇用調整助成金のメリット

企業が雇用調整助成金を受けることで3つのメリットがあります。具体的に確認しましょう。

  • 経営のサポートになる
  • 経営難でも雇用を維持できる
  • 採用・育成コストが不要である

経営のサポートになる

企業の経営が悪化し事業が縮小してしまうと、人件費が重くのしかかります。解雇すれば人件費がかからなくなる一方で、企業は解雇による人手不足の中、経営の舵取りの変化を迫られます。企業が雇用調整助成金を活用し、休業・出向などの手段を取ることによって、従業員の雇用を守りつつ企業は既存の社員と共に経営悪化の難局を乗り切ることができるのです。

さらに、景気が回復し事業が安定化してくると、既存の従業員を活用して事業の拡大を目指していくので、雇用調整助成金は経営のサポートになるのです。

経営難でも雇用を維持できる

雇用調整助成金を活用すれば、企業は雇用を維持することができます。事業縮小の中で企業が従業員を解雇すると、残された従業員は雇用継続の不安に陥り勤労意欲が上がりづらくなります。また、企業に対するエンゲージメントも下がってしまうでしょう。経営が悪化して人件費を下げる必要があっても、雇用調整助成金を使うことで解雇しなくて済み、従業員を安心させることができます。

採用・育成コストが不要である

経営悪化の中、企業が従業員の解雇を行ったとしましょう。従業員を辞めさせることで人件費が浮きますから、企業は経営悪化の状態を乗り切ることができるかもしれません。問題は経営が改善した後です。

経営改善により事業を拡大し、投資を行い、研究開発しようと思っても従業員が足りません。ですから企業は新たに人材を採用する必要が出てきます。人手が足りなければ足りないほど、応募者を見極め、採用するコストがかさんでしまうでしょう。また、育成にかかるコストもあります。採用したからといって従業員が戦力になるとも限りません。戦力化するように育てるコストがかかるのです。

その点、雇用調整助成金を活用すれば、従業員を辞めさせないため余計な採用・育成コストがかかりません。

雇用調整助成金を使う時の注意点

活用するメリットがある雇用調整助成金ですが、使う際には注意点があります。

注意点は、雇用調整助成金が助成される対象は、全ての従業員ではないということです。雇用調整助成金が助成されるのは、雇用保険の適用となっている事業所の従業員だけです。また、雇用保険被保険者でなくてはならないので、パートやアルバイトなど、人によっては助成金の対象とならないケースがあることに注意しましょう。

雇用調整助成金の受給方法

雇用調整助成金の受給方法を説明します。

計画の作成、届出

雇用調整助成金の助成対象となる雇用調整には、休業・教育訓練・出向があります。3つのうちどれを選ぶのかを決め、計画届を作成、届出を行って下さい。計画届は、正式名称を休業等実施計画届といいます。

計画届は厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。計画届の提出時期は、雇用調整を行う日の2週間前までに届け出る必要があります。届出後、雇用調整を行って下さい。

受給の申請

雇用調整に応じて、支給申請書をハローワークもしくは都道府県労働局に提出します。

審査

支給申請書を提出した後、労働局による審査が行われ、審査に通過すると雇用調整助成金を受給することができます。

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置

新型コロナウイルスの特例措置のため、2020年4月1日から9月30日までが雇用調整助成金の「緊急対応期間」となっています。それにより、雇用調整助成金の助成率が上昇することになりました。中小企業の助成率は2/3、また、大企業は1/2でしたが、特例措置によりそれぞれ4/5、2/3と助成率が上がっています。さらに、解雇せず雇用を維持している場合には助成率がさらに上昇し、中小企業で10/10、大企業で3/4となっています。

生産指標要件も緩和され、直近3か月の売上高・生産量が10%以上減少しているという要件は、直近1か月5%以上の減少を満たせば良いことになりました。雇用調整助成金の対象者についても、従来は雇用保険被保険者が対象ですが、特例措置ではパートなどの被保険者以外の人も対象となっています。

まとめ

雇用調整助成金は、経営悪化に伴い事業の縮小をせざるを得なくなった企業が従業員を解雇せず休業などの措置を行った際に、費用の一部を助成してくれる制度です。雇用調整助成金により、経営のサポートや雇用の維持などに繋がります。また、新型コロナウイルス対策として、雇用調整助成金は受給の要件が緩和されています。

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