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35歳限界説とは いま求めるべきミドル層採用のポイント

35歳限界説とは「転職できる限界は35歳」とする転職市場の定説です。ただ、様々な調査からみてもこの定説は過去のものとなっており、労働力人口の減少や中堅層の空洞化を鑑みれば、積極的に35歳以上のミドル層を採用する必要があります。

「35歳限界説」とその背景

35歳限界説とは、35歳を境として転職の成功率が下がるため、「転職できる限界は35歳」とする転職市場の定説です。

「新卒一括採用」を軸とする日本型雇用では、中途採用においても「育成」が重要視される傾向があるため、ミドル層以降は需要が少ないとされていました。つまり、伸びしろが重視されるため、若手人材が求められてきたわけです。

「長期勤続によるキャリア形成(例外自由3号イ)」によって募集要項に年齢制限を設ける際も、その多くは「35歳」が上限とされています。

※厚生労働省の見解では、若年者等は必ずしも35歳未満に限らないとしています。

参考:例外事由に該当する具体例②

「35歳限界説」は過去のものになった?

近年、様々な理由から35歳限界説は覆されたといわれ、様々な調査から得られた数字からも裏付けされています。

まず、転職市場におけるミドル層の需要は決して低くありません。 日本人材紹介事業協会の「大手3社転職紹介実績(2021年上期)」によれば、計37,968人の転職紹介人数のうち、36~40歳が4,242人、41歳以上が5,710人と、全体実績の約26%を占めています。つまり、転職者の4人に一人は36歳以上なのです。

参考:人材協、職業紹介会社大手3社 2021 年度上期転職紹介実績を発表

また、別の調査でも35歳以上の転職が実際に成功していることがわかります。大手求人サイト「doda」によれば、転職成功者の年齢割合は、35~39歳が12.8%、40歳以上が15.5%と、転職成功者の約30%が35歳以上となっています。

ちなみに「doda」によれば、2020年の転職成功者の平均年齢は32歳で、これは過去13年と比して最も高い数字とのことです。この数字からも、35歳限界説は覆っていることが伺えます。

参考:コロナでどう変わった? 転職成功者の年齢調査【最新版】

「35歳限界説」が覆った背景

少子高齢化と労働力人口の減少

35歳限界説が覆った主たる要因は、少子高齢化にあります。定年退職の年齢が65歳、70歳と後ろ倒しになるなかでは、30代半ばでも社内の人口ピラミッド上では「若手人材」に含まれる場合も少なくありません。

また、労働力人口減少による採用競争の激化により、年齢によるフィルターを撤廃しなければ人手を確保できないといった事情もあります。

参考:「人材開発政策の現状と課題、今後の見通しについて」

求人媒体の多様化

昨今はハイクラス人材やミドル層に特化した求人媒体が誕生し、多様化が広がっています。こうした求人媒体は、働き手にとって「自分の年齢でもニーズがある」という気づきに繋がり、転職に踏み出しやすくなる効果があります。

企業側にとっても、求める人物像にマッチした求人媒体を選択することで、理想の人材に出会いやすくなりました。 つまり、35歳以上の人材の需要と供給が浮き彫りとなり、転職自体が活発化しているのです。

中堅層の人材不足

現在、多くの企業が中堅層の人材不足に陥っています。その理由は様々ですが、就職氷河期の影響が色濃いといわれています。

「就職氷河期」はバブル崩壊後の就職難を指します。1993年から2005年までが該当し、2022年現在においては30代後半から40代にあたります。年齢的にちょうど管理職を任せたい層ですが、就職氷河期に採用活動を控えた企業が多く、中堅層の空洞化が生じているのです。

就職氷河期世代は正規雇用を獲得できた人が他の世代よりも少なく、キャリアアップにも苦心している人材が多いという特徴があります。このため、経験・スキルともに優秀な人材の母数が少ないことから、中堅層の採用競争が激化しています。

企業にとって35歳以上の人材の採用は、空洞化を解消するために必要不可欠な側面があるわけです。

35歳以上のミドル層採用のポイント

35歳以上の採用が活発となるなかで難しくなるのが、採用基準です。

これまで35歳以上の人材を採用する場合は、管理職候補として迎えることが一般的でした。この場合、管理職として資質を見極めるための採用基準を設けるだけですので選考は明快です。

一方で昨今の採用事情では、35歳以上の人材であっても一従業員(人員補充)として迎えるケースが増えてきています。

この場合、管理職候補ほど採用基準を厳しく設定する必要はありませんが、第二新卒のように「社会人マナーが身についていればよい」というわけにはいきません。35歳以上ともなれば、社会人経験を10年以上は積んでいるはずですので、それ相応のスキルや経験を求める必要があるのです。

以下、35歳以上のミドル層を採用する際のポイントを解説していきます。

柔軟な姿勢・学びの姿勢

35歳以上のミドル層採用で最も重要なのは、柔軟な姿勢・学びの姿勢です。

管理職候補であれば、学びの姿勢よりも、自社に新しい風を吹き込むことが役割のひとつとなります。しかし、一従業員として採用する場合は、自社の風土に馴染んでもらうことが優先されます。

場合によっては、自身のスタイルを捨てることを厭わない柔軟性が求められ、年下の先輩や同世代の上司などにも積極的に教えを請える姿勢が重要となります。

専門知識・スキル

ひとつの業界・職種に10年以上携わっていれば、自然と専門知識やスキルが身につきます。35歳以上の人材を採用する際は、なにか一つでも自社の弱点を補える知識・スキルを持っていることが望ましいといえます。

例えば、自社の営業力に不安があれば「○年以上の営業経験を持つ人材」などの条件を設定してもよいでしょう。理想は即戦力となる人材で、少なくとも自社にメリットをもたらす部分があることを条件にしてみましょう。

まとめ

採用担当者は「35歳以上だから」と年齢を理由として二の足を踏む必要はなく、むしろ優秀な人材は積極的に獲得しなければいけません。

一方で、求めるポジションによっては、管理職採用や第二新卒採用とも異なる採用基準を設定する必要があり、しっかりとした準備が必要となります。ミドル層採用は、自社の課題や社内の人口ピラミッドなどを精査したうえで進めていきましょう。

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