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就職氷河期世代とは 人材の特徴と採用時のポイントを解説

就職氷河期世代は「1990~2000年代、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った人たち」を指し、ロストジェネレーションとも呼ばれます。不況の影響が直撃したため、正社員に就くことが難しかった世代ながら、働く意欲が高く、安定志向といった特徴があります。

就職氷河期世代とは

厚生労働省では就職氷河期世代に対して支援を行っていますが、その対象は「バブル崩壊後の1990~2000年代、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った」人たちとしています。年齢としては1970年ころから1980年前半に生まれた方となり、「ロストジェネレーション世代」とも呼ばれます。

参考:厚生労働省「就職氷河期世代の方々への支援について」

「就職氷河期」はバブル崩壊後の就職難を指す言葉で、1993年から2005年までが該当します。雑誌『就職ジャーナル』で用いられたことから広まり、1994年には「新語・流行語大賞」にも選出されています。

当時の就職難は、さまざまな数字にも表れています。バブル期だった1990年の求人倍率が2.77%であったのに対し、2000年には0.99%にまで低下しています。また、2000年は大学卒業者で「就職も進学もしない者」の割合が32.4%と、過去最高を記録した年でもあります。

参考:厚生労働省「平成21年版厚生労働白書」

就職氷河期世代に非正規雇用者が多い理由

就職氷河期世代では、非正規雇用者が大幅に増加しました。当然、就職難が最たる原因ではあるのですが、これに加えて派遣法の改正の影響が大きいといわれています。

労働省者派遣法は施行当初、専門知識を必要とする13業種のみが対象でした。しかし、1999年の法改正で禁止業務以外が原則自由化され、バブル崩壊による不景気から企業の人件費削減が加速し、派遣社員の雇用が増加したのです。

内閣府「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」によれば、就職氷河期世代で非正規雇用として働く人のうち、正社員待遇を求めている人は約50万人もいるとされます。

参考:内閣府「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」

就職氷河期世代の特徴

就職氷河期世代は「正社員になれなかった人が多い」というだけでマイナスの印象を持たれがちですが、それは社会的要因によるものです。採用ターゲットとして見た際の就職氷河期世代の特徴を解説します。

働く意欲が高い

就職氷河期世代は就職したくてもできない環境を長く経験しているため、企業のなかで働く意欲が高い傾向にあります。

また、「買い手市場」での競争のために資格やスキルの取得をしている人材も多く、職歴がないせいで埋もれているハイスペックな人材も散見されます。

悲観的で安定志向

バブル経済の崩壊を体感し、就職難に直面したことから、就職氷河期世代には安定志向が多いといわれています。加えて、マイホームなどの購入を検討する年齢に差し掛かったタイミングで世界的な金融危機に直面したことなどもあり、将来に対して悲観的な傾向もあります。 これらの背景から、用心深く、少し行動力に欠ける人材が多い特徴があります。

高いITスキルを有する傾向

厳しい就職難に直面した一方で、就職氷河期世代にはIT企業の創設者が多いという特徴もあります。IT業界を大きく変化させた中心的な世代でもあり、高いITスキルを有する傾向があります。

「デジタルネイティブ」と呼べる世代ではありませんが、採用の際にITスキルの面で心配する必要はないでしょう。

就職氷河期世代を採用する際のポイント

職歴を重視し過ぎない

採用活動で就職氷河期世代を選考する際は、職歴を重視せず、そのほかのポイントで評価するとよいでしょう。

就職氷河期世代は、通常であれば問題なく就職できていたであろう人材も非正規雇用を余儀なくされました。正社員の期間がなかったり、職種の一貫性が欠けていたりしても、やむを得ない背景があります。

保有資格やヒューマンスキル、前職での経験などから総合的に評価することが大切です。

職歴の空白を確認する

就職氷河期世代の置かれた環境上、職歴に空白が生じるのは仕方ありませんが、その間の活動についてはしっかりと確認しましょう。 例えば、就職氷河期世代は「引きこもり」が多いという指摘があり、実数として40代の引きこもりが多いという調査もあります。

参考:内閣府「生活状況に関する調査」

事前に「空白期間には目を瞑り、スキルや人柄を優先する」「3カ月程度の空白期間はマイナスとしない」といった評価基準を整備しておきましょう。

助成金の活用

企業が就職氷河期世代を雇用した際、助成金を受け取れる場合があります。

例えば厚生労働省の「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」は、条件を満たすことで助成を1年間受けられ、総支給額は60万円となります。

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」

採用・育成コストを賄えることを鑑みれば、就職氷河期世代をターゲットとして採用活動を行うのも効率的な取り組みといえるでしょう。

まとめ

2019年に政府は就職氷河期世代への支援目標として、「今後3年間で正社員を30万人増やす」と掲げました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年度に正社員となれたのは約9万人程度と、ほぼ停滞状態となっています。

こうした状況を受けて、地方自治体などが中心となり、採用セミナーやオンライン説明会などの開催が盛んになっています。

少子高齢化によって若手人材の採用競争が激化する現在、とくに採用力で劣る中小企業は、就職氷河期世代の採用に目を向けてみるのもよいのではないでしょうか。

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