リファレンスチェックは、中途採用時に候補者の前職へ問い合わせること。経歴やスキルを確認することで、選考の参考とします。コロナ禍で選考がオンライン中心となったことで注目されており、通常の選考では知り得ない情報を得られるメリットがあります。
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リファレンスチェックとは、中途採用の際に候補者のスキルや実績などについて、前職へ問い合わせること。つまり、身元確認(照会)です。
外資系企業では一般的に行われていた手法であり、日本の企業でも幹部候補を採用する際などに実施されるケースが多いようです。
一部の企業でしか用いられていなかったリファレンスチェックですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で広く注目されています。
コロナ禍での採用活動はオンライン中心となるため、候補者の見極めが難しくなり、ミスマッチの可能性も高まります。その対策として、実際に候補者と働いていた同僚や上司に働きぶりを確認し、判断材料のひとつとして活用するのです。
これまでの選考方法では知り得なかった情報を得られることからも、その有用性が再認識されています。
ミスマッチの防止は、リファレンスチェックの一番の目的といえるでしょう。人柄やスキル、経験などについて裏付けを取ることで、早期離職のリスクを減らすことができます。
例えば、候補者のスキルは実務経験に基づくものなのかを確認すれば、即戦力になるかが判断できます。また、候補者の仕事ぶりを知るだけでなく、人間関係などのコミュニケーション能力を把握するのにも役立ちます。
リファレンスチェックによって、書面や口頭だけではわからない事実を把握できます。とくに実際の勤務態度などは、通常の選考方法は確認しきれない貴重な情報です。
例えば、候補者の「リーダーとしてチームを引っ張った」というアピールも、実際には「周りの意見を聞かずに自分本位でプロジェクトを進めた」という事実が明らかになることもあります。「リーダーの経験」に偽りはありませんが、その評価は大きく見直す必要があるでしょう。
同様に、経歴詐称を防ぐという意味でも効果的です。
採用担当者のなかには「面接では人柄が良かったけれど、採用後は必要最低限の会話しない人材だった」といったギャップを経験した方もいるのではないでしょうか。
こうした問題も、普段の働きぶりを実際に見ている人へ確認すれば、未然に防げるわけです。面接対策がうまい候補者を見抜けるのも、リファレンスチェックならではといえます。
リファレンスチェックは、候補者から実施の同意を得ることから始めます。本人の同意なしに第三者が個人情報を提供することは「個人情報の保護に関する法律」に抵触するので注意しましょう。
また、リファレンスチェックはまだ一般的に浸透しているものではないので、候補者に対して内容や進め方までしっかりと説明しましょう。
候補者の上司・同僚へリファレンスチェックを依頼するため、アポイントを取る必要があります。方法は大きく2つあります。
候補者にリファレンスチェック先を紹介してもらう場合は、客観性を保つために業務上の関わりが深い人物を2名以上指定もらうとよいとされます。
自社で探す場合は、採用担当者かリファレンスチェックを業務として行う企業に委託して実施します。とくに候補者の離職から時間が経ち、紹介が難しい場合は自社で行うことになるでしょう。
リファレンスチェックは「電話で行う」「チェックシート送付する」などが一般的です。とくに慣習があるわけではないので、先方の都合に合わせて決定するとよいでしょう。
リファレンスチェックは自社の都合で依頼するものであり、だらだらと時間をかけては先方の迷惑となります。事前に質問内容を吟味してから実施しなければいけません。
質問は主に選考のなかで疑問に思った点や、客観的な視点がほしい事柄について確認するとよいでしょう。
候補者が在職中で秘密裏に転職活動を行っているなどの事情があると、同意を得ることは難しいでしょう。
ヘッドハンティングのように相手方の企業によい印象をもたれていない場合、企業側にリファレンスチェックを拒否されることもあります。
また、リファレンスチェックの文化がない企業では、個人情報を提供することに難色を示される可能性もあります。
コロナ禍で選考がオンライン中心になったことで注目されるリファレンスチェックですが、そのメリットは通常の選考では得られないものばかりです。「普段の働きぶり」「近しい人間からの評価」といった情報は、採用活動を行ううえで非常に有益な情報となるでしょう。
選考に自信がない、早期離職が多いといった悩みを抱えているのであれば、積極的に導入を検討してみるとよいでしょう。