就職を目指す人が、応募企業を選ぶ際に最初に目にする情報が求人票です。求人票は、応募者が雇用条件を誤解して、入社後のミスマッチを招かない様に、正しい内容をわかりやすく記載することが重要です。また、必ず記載することが必要な項目や書いてはいけない項目もあるので、採用担当者は、しっかりと理解する必要があります。
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職業安定法の5条では、求人募集を出すときのルールが定められています。違反すると、6か月以下の懲役や30万円以下の罰金が科せられるだけでなく、社会的な信用を失うといった大きなリスクを伴います。
職業安定法によって、求人票には必ず記載しなければならない項目が定められています。これらは、大学やハローワークに求人票を提出する際だけでなく、求人広告を出したり自社のホームページに求人情報を掲載する場合にも適用されるので注意が必要です。求人票に最低限記載しなければならない項目は次の通りです。
賃金の記載は、不満やトラブルになりやすいため記載する際には注意が必要となります。特に気をつける必要があるのが、固定残業代や裁量労働制を導入している場合です。基本給には、固定残業代や通勤手当などの各種手当を含めて記載してはいけません。固定残業代を導入している場合には、次のような記載をするようにしましょう。
記載例
ポイントは、「毎月、定額で支給される手当に固定残業代が含まれる場合には、基本給と分けて記載する」固定残業代で決められた時間を超過した場合には、超過分が追加で支給されることを明記にする」の2つです。
正社員の無期雇用で求人をする場合には問題となりませんが、それ以外の雇用形態や雇用期間の場合では、正しく記載していないとトラブルに発展する可能性があります。就職活動を行う学生は、雇用形態や雇用期間の内容で応募企業を判断します。丁寧に記載して誤解を与えない様にしましょう。
就職活動を行う大学生は、求人票の内容で企業を判断します。求人票の書き方が正しくなかったり具体的でない場合には、自社に対して興味を持ってもらうことが難しくなります。求人票を記入する際には、次のポイントに注意しましょう。
求人票を記入する際に大切なことは、見た人が「応募したい」と思うような書き方をすることです。そのためには、自社のことや仕事の内容をイメージできるように具体的な内容を書くことが大切です。
教育研修制度や福利厚生など他社と差別化できる内容など、自社の一番アピールしたいことが一目でわかるようにしましょう。
大学にはほとんどの場合、学校指定の求人票があります。したがって、その内容に沿って記載しましょう。自社のホームページなどに求人票を掲載する場合には、形式は自由ですが、上記でご紹介した記載が必要な項目に漏れがないように注意します。
大学の就職課やキャリア支援センターに行くと、企業の求人票が多数掲示されています。学生は、それを見て興味のある企業にエントリーするわけですが、学校から指定された同じ様式の求人票がたくさん並べられている中で、自社の求人票を見てもらうためには、文字の大きさやフォントなど見やすくする工夫が必要です。
学校指定の求人票があっても、それ以外の様式の求人票でも受け付けてくれる大学もあるので、事前に確認しましょう。フォーマットが自由であればレイアウトを見やすくするなどの工夫もできます。
求人票には、自社が求める人材像がイメージできるように具体的な条件を記載します。自社が求める人材像について学生に伝わらないと、条件にあわない応募も多数来てしまいまい、選考に時間と手間がかかることになります。
求人票には自社の求める人材像について、できるだけ具体的に記載することが大切ですが、法律によって記載してはいけない表現などもあるため注意が必要です。
男女雇用機会均等法では、性別に関わりなく平等に雇用の機会を設けるために、男女を限定する表現が禁止されています。また、男女別に採用人数の枠を決めて募集や採用を行うことも禁止です。
大卒者の求人の場合、ほとんどの応募者はほぼ同じ年齢ですが、中には社会人入学によって再度就職を目指す人や、何らかの理由で浪人や留年を重ねた人からの応募があることも考えられます。雇用対策法では、年齢に関わりなく均等な雇用機会が与えられなければならないとして、年齢制限の禁止が義務化されています。求人票を記載する際には、応募の条件として年齢を記入しないように気をつけましょう。
参考:厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」
社員を募集・採用する際には、さまざまな法律によってルールが決められています。そのため求人票を記載する際にも、それらのルールに沿った内容にしなければなりません。採用担当者は、法律やルールを理解して正しく求人票を書くようにしましょう。