次期管理職の候補となるのは中堅社員です。候補者は実務面の優秀さだけでなく、コミュニケーション能力などの資質を見極めて選出します。スキルアップ機会の提供や管理職候補としての意識づけなど、候補者の負担を考慮しつつ段階的に育成を進めていきましょう。
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2020年1~10月のあいだに「後継者難」を理由とした倒産は301件(前年同期比で47.5%増)で、これは2013年の調査開始以降、年間最多の件数です(これまでの最多は2015年の279件)。
この倒産数が示すとおり、中小企業にとって後継者不足は切実な問題となっています。こうした問題を防ぐためには、早い段階から次期管理職の候補を選定し、育成を進めていく必要があります。
次期管理職の候補となるのは、中堅社員です。しかし、ただ一口に中堅社員といっても対象者は曖昧であり、中堅社員であれば誰でも管理職の候補になるわけではありません。
ここからは、中堅社員の定義と次期管理職の候補になる人材について解説していきます。
中堅社員は一般的に、入社3年目以降で役職についていない社員を指すことが多いようです。
また、企業によっては「20代半ばから30代」といった年齢層で定義することもあります。この場合、入社間もない中途採用者であっても中堅社員に括られます。
このように、企業ごとに「中堅社員」の社員像は異なり、明確な定義があるわけではありません。ベンチャー企業と老舗企業では、「中堅」の年齢層も異なるでしょう。
まずは上の定義を参考に、自社に合った中堅社員像を定めてみるとよいでしょう。
中堅社員にあたる人材が複数名いる場合、次期管理職の候補を選出する必要があります。
業績の良い人材を候補とするのは間違いではありませんが、それだけでは管理職としてはもう一歩。単独で業務を遂行できる優秀な人材であっても、マネジメント面では不得手なことが往々にしてあるからです。
見極めるポイントは、「自然に若手社員をサポートしている」「クライアントとの関係性が良好」といったコミュニケーション面です。
また、なかには現場主義で、管理職へのモチベーションが低い人材もいます。従業員自身が管理職へのキャリアプランを持っているかも確認する必要があるでしょう。
マネジメントや経営面への参画には、段階を踏んで到達することが望ましいといえます。
まずは一人のプレイヤーからチームリーダーへ、次にプロジェクトを一任するといった具合に、段階的に業務の規模感を拡大していくことが大切です。
これは候補者の成長機会になるだけでなく、次期管理職の候補として適性があるかを確認するプロセスでもあります。
無事に業務を遂行し、次期管理職の候補者として申し分ないと判断したら、次の段階へ移行しましょう。
ある程度の経験値を積ませることができたら、従業員自身にも次期管理職の候補として自覚的に行動してもらう必要があります。遠回しに自覚させるのではなく、「管理職への昇進を前提として仕事を任せている」と本人へ直接伝えましょう。
中堅社員は仕事への慣れからマンネリを感じていたり、実務経験を生かして独立や転職を検討している場合があります。昇進を前提とした業務であることを伝えれば、モチベーションアップにつながるだけでなく、離職リスクを下げることにもつながります。
自他ともに次期管理職の候補として歩んでいることを意識づけさせるとよいでしょう。
候補者のステップアップや意識づけが進んだら、管理職として活躍するためのスキルアップを図りましょう。
社内に模範となるコンピテンシーモデルがあれば良いですが、そのような例がない場合は外部の研修プログラムへ参加させるのも良いでしょう。ときには経営層に同行させるなど、直接指導を行うことも大切です。
課題解決力や交渉力、マネジメント能力といったスキルを身につけられるよう、企業として具体的なスキルアップ機会を提供していきましょう。
育成のなかで注意しなければならないのが、いたずらに候補者への負担を増やしてしまうことです。
業務の規模が大きくなるにつれて、チームのマネジメントやクライアントとの折衝などの負担が増えていきます。対人関係が複雑化することから今までの業務とはプレッシャーの質も異なり、候補者は負担を感じることでしょう。
そうした通常業務に加えてセミナーへの参加や経営層からの指導が重なると、候補者のキャパシティを超えてしまう恐れがあります。候補者はあくまでも「役職のない社員」という立場であるため、負担の重さに不公平さを感じることもあるでしょう。
管理職は一朝一夕で育成できるものではありません。候補者の負担を考えて、中長期的な育成計画を立案しましょう。
「社内に次期管理職に足る人材がいない」「候補者が転職してしまった」という企業も少なくないでしょう。
こうした場合、無理に社内の人材から選出するよりも、必要なスキルや経験を持っている人材を中途採用すべきといえます。管理職候補だからといって、ハイクラス人材を採用する必要はありません。育成を前提として、中堅社員を採用することも選択肢となります。
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