社員の求心力向上 コロナ禍で社員の心は離れている
在宅勤務への不適応やコロナ禍への対応などを原因として、多くの企業は知らぬ間に社員の求心力を低下させている可能性があります。企業は社員の求心力向上のために多様な働き方を認め、公平な評価制度を整備していかなければなりません。
目次
社員の求心力低下の危機
全国的に推進されている在宅勤務により、オフィスという一体感の醸成の場が機能しなくなっています。
同僚や上司とのコミュニケーション不足によって「自宅で一人で働き続けるなら独立したい」「上司や同僚の対応に納得できない」といった不満も増えてくるでしょう。
実際にサイボウズ株式会社が実施した調査によれば、「職場の人と業務に関わるコミュニケーションをとる1日あたりの時間」は、6割以上が「0分」または「30分未満」と回答しています。
離職へ傾く心理は、NTTコムリサーチが2020年9月に実施した調査でも読み取れます。在宅勤務中の回答者の23.7%が「転職活動や独立・起業の準備を始めている、検討している」と答えました。在宅勤務者の4人に1人は、離職を検討しているわけです。さらに若手人材ほどこの傾向は強まり、20代では40%を超えています。
パンデミック収束後も、以前と同様のオフィスワーク環境が戻ってくるとは限りません。人事担当者や経営層は、従業員の求心力を高めるために何が必要なのかを突き詰め、実行していかなければならないのです。
求心力の低下が招く事態
社員の求心力の低下は、主に「離職リスクの上昇」と「生産性の低下」を招きます。各種調査や論文などでも示されていますが、自然に考えても「嫌々やる仕事」と「好きでやる仕事」を比較すれば、「好きでやる仕事」のほうが良い結果に結びつきやすいのは想像に難くありません。
とくに「家でも仕事ができる」という認識の大きな変容は、企業にとって離職リスクを大きく高めることになるかもしれません。
すでに小規模な調査では、「リモートワークの影響によって今後の副業・フリーランスなどの働き方は増えるか」という質問に対し、54.8%が「増えていくと思う」、31.8%が「多少は増えていくと思う」と回答しています。
参考:「新型コロナウイルスの影響下における働き方の実態・意識調査」
求心力向上のために必要なこと
それぞれにあった働き方を認める
時短勤務を認めている企業でも、育児や介護といった事情が前提となっている場合が大半でしょう。こうした制度だと、独立志望や趣味との両立を希望する従業員は対象外となり、求心力は低下します。
以前の日本型の働き方であれば、「仕事に打ち込まない人材はいらない」と切り捨てることができたかもしれません。しかし、少子高齢化による労働力人口の減少に直面する現在、こうした多様な働き方を認め、優秀な人材に在籍してもらうことが優先されます。
もちろん、これは時間(時短勤務)に限ったことではなく、場所も同様です。「オフィスで働きたい」「自宅で働きたい」「地方に住みながら働きたい」といった希望が認められるよう、それぞれの働き方を実現できるようにルールを整備していく必要があります。
働き方とリンクした評価制度の整備
いたずらに多様な働き方を認めればよいわけではなく、それぞれの従業員がパフォーマンスを発揮できているのかが重要となります。とくに在宅勤務などで働きぶりを直接見れない場合は、しっかりとした評価制度が必要となります。
これは企業にとって欠かせない整備であると同時に、社員間で不公平を感じさせないためにも重要です。
目的をはき違えない
働き方改革を推進していると、「目的」をはき違えてしまいがちです。
例えば、残業時間を減らすという目標が掲げられたが、業務時間内に仕事を終わらすために急かされ、職場の雰囲気が悪くなったというパターン。従業員の満足度向上を目的として残業時間を減らそうとしていたはずなのに、残業時間を減らすことに目的がすり替わっています。
社員の求心力を向上させるという「目的」を忘れずに、制度の見直しや整備は実施していきましょう。
望まれる制度を作る
経営層の独りよがりで求心力向上の施策が推進されるのも、ありがちな失敗です。
例えば、休日に社内イベントを頻繁に行うようにしたパターン。従業員の多くが「休みの日は家族と過ごしたい、趣味に時間を使いたい」と思っていたら、社内イベントの押し付けは離職リスクを高めるだけです。
同じ福利厚生の充実でも、スキルアップや健康増進など様々な方法があります。従業員に共感されない・歓迎されない制度では意味がありません。
ときには匿名制の社内アンケートなどを実施し、「不要だと思う制度」「廃止してほしい制度」などをくみ取っていくことも必要でしょう。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大により、急速に「会社のなかで働く意義・魅力」を従業員へ伝える必要性が高まったといえます。
企業は従業員に対し、組織に属しているからこそできる仕事を提供し、成長を実感できる環境を整えなければなりません。
しかし、これは決して後ろ向きな課題ではありません。社員の求心力を高めることは、企業としての生産性の向上につながるからです。多くの企業が求心力低下の危機にある今だからこそ、よりよい組織としての魅力を高めることが大きなチャンスへとつながります。
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