求人広告のキャッチコピーは、実際に求人をみてもらうための入り口です。多くの求人広告のなかで埋もれず、求職者の心を掴むためにはいくつかポイントを押さえる必要があります。求人広告におけるキャッチコピーの特徴、作り方を解説します。
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数多くの求人広告が掲載されている求人媒体において、求職者に自社の求人を見てもらうためにはキャッチコピーがとりわけ重要となります。
ミズーリ科学技術大学の研究によれば、人はwebページにアクセスして約3秒で「自分が求める内容であるか」「得られる利益はあるか」といった判断を下すといわれています。数多くの求人広告のなかで、瞬間的に読み取れるキャッチコピーが重要になるのは間違いありません。
参考:https://news.mst.edu/2012/02/eye-tracking_studies_show_firs/
キャッチコピーは、いわば求人広告の入り口です。どんなに良い求人を作成しても、中身を見てもらえなければ意味がありません。入り口でしっかりと求職者の心を掴み、自社の求人へ導かなければなりません。
まず前提として、キャッチコピーだけで「この会社に入社したい」と思わせるのは至難の業です。実際、そんな奇跡的な出来映えのキャッチコピーを目指す必要はなく、求職者に「自分に合いそうな会社だ」と感じさせて求人の中身を見てもらうことが目的となります。
求人広告におけるキャッチコピーは、数十年先までブランディングとして使うキャッチコピーではありません。求職者に関心を持たせるためのテクニカルなものと考えるとよいでしょう。
企業のキャッチコピーというと、言葉の響きに重きを置いた抽象的なキャッチコピーを連想するかもしれません。しかし求人広告においてこの方向性は、あまり有用ではありません。この手のキャッチコピーはブランディングに用いられるものであり、目的が異なるためです。
例えば「I’m lovin’it」といえば、某ファストフードチェーンが連想されます。多くの人がすぐに連想できるということは、優秀なキャッチコピーとして機能としているといえるでしょう。しかし、この言葉から「この会社に入社したい」と思うでしょうか。印象的なコピーが、必ずしも人を行動に至らせるとは限らないのです。
求人広告のキャッチコピーは人に覚えてもらうためのブランディングではなく、求人への応募を促すものです。その方向性は、商品やサービスの販促に近いといえるでしょう。
理想とする職業や働き方は、十人十色で異なります。そのため、すべての求職者が興味を持つ求人広告を作ることはできません。
できるだけ多くの求職者に求人を見てもらうほうが良いと思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。万人に受けるような表現は焦点がぼやけて、伝わりにくく中途半端になります。結果的にどのような会社なのかわからず、応募者の減少に繋がってしまいがちです。
効果的なキャッチコピーを作成するためには、どんな人材を採用したいのか明確にし、応募して欲しい人物像に響く言葉を選ぶ必要があります。
例えば、バリバリと働く営業マンを採用したいのであれば、高収入を売りにしたキャッチコピーが選択肢として上がります。
高収入は誰にとっても魅力に映ると考えがちですが、ワークライフバランスを大切にする人にとって収入は二の次かもしれません。このように、募集する職種や求めるスキルなどから応募して欲しい人物像を設定し、興味を持ちそうなキーワードを盛り込むことが重要になります。
求める人物像の設定の延長になりますが、新卒採用と中途採用でキャッチコピーの表現を変えると良いでしょう。
新卒採用の場合、求人広告を見慣れていない学生に対して、現実的な言葉を並べすぎると意欲が高まりません。自己実現の達成に響く言葉など、「理想」にまつわるキーワードを盛り込むのがおすすめです。
中途採用の場合、求職者は会社勤めを経験しているため、理想と現実を理解しています。より「現実的」な要素を盛り込むほうが、求職者に刺さる可能性が高くなるでしょう。
自社のアピールや求職者の利益になるような要素を盛り込む場合は、明確な表現を心がけましょう。実際の数字などを盛り込むと、求職者により響きます。
例えば、単に「未経験者歓迎」と表現するよりも「部署の8割が未経験からスタート」と表現するほうが、未経験職に挑戦する心理的ハードルが下がるでしょう。
人物像の設定と合わせて、どのような表現なら求職者が関心を持つかといったことにまで想像を巡らせましょう。
求人広告におけるキャッチコピーに重要なのは、技法ではありません。採用活動を行ううえで基本となる「自社の強みの把握」や、「求める人材への理解」が大切なのです。キャッチコピーという短い言葉のなかで、何を一番に伝えるべきなのかを定めることができれば、その後の採用活動の指針にもなるでしょう。