企業が労働者の募集から面接、採用する際には、さまざまな法律によって規制があるため、それらの法律をよく理解した上で採用活動を行うことが重要です。では、採用担当者が知っておくべき法律にはどのようなものがあるのでしょうか。
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企業が従業員を採用する際には、関連するさまざまな法律を守って募集や採用を行う必要があります。採用担当者や面接官が、これらの法律を知らなければ、求人票に明示しなければならない条件を記載しなかったり、面接試験で質問してはいけない内容を尋ねたりと法律に違反してしまう可能性があります。採用担当者は、次にあげる雇用関係の法律についてはポイントを押さえておくようにしましょう。
「労働基準法」は、企業と従業員が結ぶ雇用契約や労働時間、休日、賃金などの労働条件の最低基準を定めた法律です。対象は、パートやアルバイトも含めて全ての従業員となります。労働基準法に定められた基準に達していない労働契約は無効とされ、悪質な違反の場合には懲役刑や罰金刑が課せられます。
「職業安定法」は、職業紹介や労働者の募集、労働者供給について定められた法律です。平成30年1月に改正され、企業が従業員を雇用する際の雇用条件の通知に関して、明示しなければならない事項が追加されました。労働条件の明示は、基本的にハローワークなどへ求人の申し込みを行う際や、自社のウェブサイトなどで募集を行う時です。
「働き方改革関連法」は、平成30年7月に改正されるまで「雇用対策法」と呼ばれていた法律で、採用募集時の年齢制限の禁止や時間外労働の上限規制、労働条件の明示の方法など労働者保護に関する内容が定められています。
参考:厚生労働省「働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)」
「男女雇用機会均等法」は、男女の差別を禁止して、募集や採用、昇給、昇進、定年、退職などの面で性別を理由とした差別を禁止して、平等に扱うことを定めた法律です。
参考:厚生労働省「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」
採用担当者が募集や求人の時、面接や選考の時に守らなければならない法律と、その具体的な内容などを解説します。
「職業安定法」では、労働者を募集する際に労働条件の明示が必要なタイミングや最低限明示しなければならない労働条件などが定められています。労働条件の明示が必要なタイミングは、ハローワーク等へ求人を申し込む際や、自社のホームページで募集を行ったり募集広告を掲載したりする際です。ただし、求人票のスペースが足りないなど、やむを得ない場合には、「詳細は面談の時にお伝えします」などと記載して、労働条件の一部を別途明示することも可能です。最低限明示しなければならない労働条件などは以下の通りです。
「男女雇用機会均等法」では、募集や採用にあたり性別を理由とする差別が禁止して、男女均等な扱いをすることが定められています。具体的には以下のようなものです。
「職業安定法」では、「本人に責任のない事項」や「本来自由であるべき事項」など、適性と能力に関係がない事項を応募用紙や面接で質問することは社会的差別につながるおそれがあります。
「男女雇用機会均等法」上で、面接や選考で注意すべき主な点は、次の通りです。
「障害者雇用促進法」に基づいて、厚生労働省では「障害者差別禁止指針」を規定しています。障害者差別禁止指針では、労働者の募集や採用にあたっては障害者に対して、障害のない人と均等な機会を与えなければならないとしています。
募集から面接、採用にいたる採用活動では、さまざまな法律を遵守しながら進める必要があります。法律に違反すると罰則があるだけでなく社会的信用を失い、以降の採用活動が難しくなる可能性があります。採用担当者は関連する法律をしっかりと理解しましょう。